『休戦』プリーモ・レーヴィ

休戦 (岩波文庫)

休戦 (岩波文庫)

アウシュビッツから解放されて、イタリアに帰郷するまでのノンフィクション。
解放されたからといって、至れり尽くせりで快適に家まで送り届けてくれる、なんてわけない。戦争直後の混乱の中で。解放後も収容所を転々とながら。全体として悲壮感はない。弾けるような明るさもないけれど。旅の途中で行動をともにした、商売っ気のあるギリシア人、イタリア人チェーザレら仲間とのいくつかのエピソード、おおらかというかいい加減なロシア兵たち、じわじわと、人間性を回復しながらの旅。
終戦ではなく「休戦」。どれだけ時間がたって、どれだけ回復したようにみえても、アウシュヴィッツの体験は終わらないんだな。

以前読んだことがある『天使の蝶』の著者。こんな体験をしてたんだ。知らなかった。同著者の作品としては『アウシュビッツは終わらない』も有名なようだ。機会があれば読んでみよう。

天使の蝶 (光文社古典新訳文庫)

天使の蝶 (光文社古典新訳文庫)